「ありがとう」という映画が封切り直前であることを知ったのは神戸を徘徊していて偶然の事でした
予告編を見ただけで ひと目でこれは大変な映画だと思いました
『ありがとう』オフィシャルサイトhttp://arigato-movie.jp/
現シニアプロゴルファーのF氏。神戸市長田区の鷹取商店街でカメラ店を営んでいたが阪神淡路大震災で被災、地元消防団、自治会長として救助活動、街の復興事業に奔走、やがて還暦を前にした年齢で異例のゴルフのプロテストに挑戦する。
ノンフィクション「還暦ルーキー」(後に講談社文庫「ありがとう」)を原作とした映画です
11月25日の封切日の初回上映を観るため三宮駅前の中心街にある「三宮フェニックス」に向かいました
朝早い時間のためか座席は1/3に満たないぐらいの状態
報道カメラらしきクルーが入っていたが拍子抜けであったろうか
映画がはじまってから刻一刻と胸騒ぎがせまる。それは間もなく1月17日5時46分の場面が近づいているからでした。しかし、わかっていたにもかかわらず それは想像を遙かに超える恐ろしい場面でした。顔から血が引いてしまった事が自分でもわかりました。
鷹取商店街のセットと被災の場面はCGは使わない。それは亡くなられた6000人以上の方々への思いとして スタッフの方針だったとのこと。しかし「本物と同じだ」と地元の方も評する異例の大がかりなセットになった。
倒壊の場面ののち迫りくる火災 倒壊家屋からの必死の救助
下敷きの家屋から「家族を逃がしてやってください」という声。自分は今までこの震災の悲話を結局 同情心とか涙物語程度の美談でしか聞いていなかった そんなきれい事ではないんだと衝撃を受けました。
本当は恐怖と苦痛と自分も助かりたいはずなのに「自分を置いて家族を逃して欲しい」と叫ぶ極限の状況 それを家屋の下から出ている「手」だけで表現する。妻を助けようと必死に家屋に取り付く夫と それを止めて引きずり降ろそうとする赤井英和の掴み合い やがて炎に包まれて倒壊していく家屋から聞こえる絶叫 その声から耳を塞ぎうずくまる女の子 この映画の中でも いつまでも忘れる事のできないシーンでした
この映画では多くの人気俳優が賛同出演でワンシーン出演している。焼失寸前に家屋から救助された老婆は正司照枝師匠 消防隊長は佐野史郎さん。しかし それは後になって気づいたぐらい この映画のメッセージを理解し流れの中にはまっているようでした。
震災の場面は時間で言えば前半40分 やがて絶望から復興 そしてFさん自身の復興 であるプロテストへの挑戦への後半に移っていき 笑いの場面がだんだん出てきます。
赤井英和が「ワシはこれで食っていくことにしたんや」とゴルフバックを指さす
田中好子の妻が「へえ こんなもんが食えるんか。だったら食べてみい」 赤井「おう」 一瞬ゴルフバックをかじるそぶりを見せて「アホ 食えるか。ワシはゴルフのプロになると言っとるんや」
こんな関西の夫婦の日常会話 笑いによる生命力に 震災の場面で消耗し(おそらく自分以外も)充血した目になっていた館内の観客席からも笑い声が漏れる。
港の作業員として登場した(いかにもハマリ役)島木譲二さんなどは この映画でもポケットからアルミ灰皿2枚を取り出して いつもの芸を始めたので笑わざるおえなくなるが それも神戸の人たちが復興に向けて徐々に笑顔を取り戻していく中のワンシーンでした
前半の震災の場面と後半の復興とゴルフの場面のギャップへの違和感 この映画を無理に何か指摘するとしたら その辺の事になります しかしこれは監督自身も最も苦心したところと言っていました
震災の場面 これは実際に体験した方にとっては耐え難い場面と思われます 事実
『ありがとう』オフィシャルサイトに寄せられた感想にも「見に行きたくない」という人がいるとのこと
しかしこの映画には鷹取商店街の方々が全面的に撮影協力し、全国の多くの人に見て欲しいと言っています
また完成試写会では赤井英和ほかの人たちが涙を見せており この映画には格別の思いを持っていたようです
自分もこの映画を神戸で観ることができて「ありがとう」
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